ID・アクセス管理

SaaS時代の認証基盤の選び方——乱立するクラウドサービスを安全に一元管理する

2026年3月30日 読了約11分 Net Peace編集部 SaaS, 認証基盤, SSO, SCIM, パスワードレス

1. SaaS乱立時代の認証の悩み

業務のデジタル化が進み、いまや多くの企業が、数十から数百のSaaS(クラウドサービス)を使っています。メール、チャット、勤怠、経費精算、営業支援、ファイル共有——便利なサービスが次々と増える一方で、認証・アカウント管理は、深刻な悩みを抱えるようになりました。

サービスごとにバラバラにアカウントを管理していると、次のような問題が生じます。「サービスごとに別々のパスワードを覚えられない」「入社のたびに、多数のサービスで手作業でアカウントを作る」「退職のたびに、それらを1つずつ止めて回る(そして止め忘れる)」「誰がどのサービスを使っているか把握できない」——。SaaSが増えるほど、これらの悩みは深刻になります。サービスごとのバラバラな認証管理は、もはや限界なのです。この課題を解決するのが、SaaS時代の「認証基盤」です。本記事では、その役割と選び方を解説します。

「認証基盤」とは何か

SaaS時代の認証基盤(IDaaSなどと呼ばれます)とは、多数のSaaSの認証・アカウント管理を、1箇所で一元的に担う仕組みのことです。各SaaSに個別にログインするのではなく、認証基盤を中心(ハブ)にして、そこから各SaaSへの認証・アカウント管理を統括します。乱立するSaaSを、バラバラのままにせず、安全に一元管理するための土台です。

2. 認証基盤が果たすべき3つの役割

SaaS時代の認証基盤には、大きく3つの役割が求められます。

役割 内容
① SSO(シングルサインオン) 1度のログインで、複数のSaaSを使えるようにする。パスワードの数を減らし、利便性を高める
② アカウント自動連携(SCIM) 入退社に連動して、各SaaSのアカウントを自動で発行・削除する。手作業の漏れをなくす
③ 認証の強化 多要素認証・パスワードレス認証を、全SaaSにまとめて適用する

① SSOは、1度のログインで複数のSaaSを使えるようにし、「サービスごとにログイン」の手間と、パスワードの数を減らします。② アカウント自動連携(SCIM)は、入退社に連動してアカウントを自動で発行・削除し、「手作業の発行漏れ・止め忘れ」をなくします。③ 認証の強化は、多要素認証やパスワードレス認証を、認証基盤でまとめて適用します。この3つを担うことで、認証基盤は、乱立するSaaSを安全に一元管理します。

3. 認証基盤の選び方——確認すべきポイント

SaaS時代の認証基盤を選ぶ際、確認すべきポイントを整理します。

  • 自社のSaaSに対応しているか:普段使っているSaaSと、SSO・アカウント連携できるか。対応サービスの範囲を確認する。
  • アカウント自動連携(SCIM)ができるか:入退社に連動した自動のアカウント発行・削除に対応しているか。手作業を減らせるか。
  • 認証を強化できるか(重要):多要素認証、そしてフィッシングにも強いパスワードレス認証(FIDO2/パスキー)に対応しているか。
  • 可視化・管理のしやすさ:「誰がどのSaaSを使っているか」を一元的に把握できるか。管理者にとって使いやすいか。
  • アクセス制御:SaaSごと、役割ごとに、アクセスを適切に制御できるか。
  • ログ・監査:アクセスを記録し、監査に対応できるか。

これらのポイントを、自社の状況——使っているSaaS、規模、解決したい課題——に照らして確認します。特に、まず自社が「どのSaaSを、誰が使っているか」を把握することが、認証基盤選びの出発点になります。現状把握なしに製品を選ぶと、自社に合わないものを選んでしまいます。

SaaSの認証、一元管理しませんか?

乱立するSaaSを、SSO・自動連携・パスワードレスで安全に一元管理。Net Peaceが、SaaS時代の認証基盤づくりを支援します。

無料相談を申し込む SCIMの仕組みを読む

4. 見落とされがちな「退職者アカウント」への対応

SaaS時代の認証基盤選びで、特に見落とされがちですが、極めて重要なのが「退職者アカウントへの対応」です。

SaaSが多数あると、退職者のアカウントを1つずつ手作業で止めるのは、大変な手間です。そして、この手作業には、必ず「止め忘れ」が生じます。「あのSaaSのアカウントだけ止め忘れていた」——放置された退職者アカウントは、監視されず、乗っ取られても気づかれにくい、格好の侵入口になります。SaaSが増えるほど、このリスクは高まります。

認証基盤(特にアカウント自動連携・SCIMの機能)は、この問題を解決します。認証基盤で退職者のアカウントを無効化するだけで、連携する全SaaSのアカウントが自動的に無効化される——「1箇所止めれば、すべて止まる」。この確実性が、退職者アカウントという、SaaS時代の重大なリスクへの有効な答えになります。認証基盤を選ぶ際は、この「退職者アカウントを確実に、漏れなく止められるか」を、重要な選定ポイントとして確認してください。

5. SaaS認証の要——パスワードレス

SaaS時代の認証基盤を選ぶうえで、将来を見据えて最も重視したいのが「パスワードレス認証への対応」です。

考えてみてください。SaaSが多数あるということは、それだけ「ログインの入口」が多いということです。そして、その入口の1つでもパスワードが破られれば、SSOで連携している場合、被害が広がりかねません。SaaS時代は、認証の入口を、これまで以上に強く守る必要があるのです。だからこそ、SaaSの認証基盤には、フィッシングにも強いパスワードレス認証(FIDO2/パスキー)が求められます。

パスワードレス認証なら、多数のSaaSのパスワードを覚える必要がなくなり、フィッシングでパスワードを盗まれる心配もなくなります。SSOの入口をパスワードレスで守れば、利便性と安全性を最高水準で両立できます。世界のセキュリティガイドラインも、パスワードレスへの移行を明確に示しています。SaaS時代の認証基盤を選ぶなら、単にSSOやアカウント連携ができるだけでなく、その認証をパスワードレスへ進化させられるものを選ぶことが、これからの最善の選択です。認証基盤の導入は、SaaSの管理を効率化しつつ、認証をパスワードレスへ進める、絶好の機会なのです。

6. まとめ

SaaSが乱立する今、サービスごとのバラバラな認証・アカウント管理は限界を迎えています。SaaS時代の認証基盤は、SSO・アカウント自動連携・認証強化の3つの役割を担い、乱立するSaaSを安全に一元管理します。選ぶ際は、自社のSaaSへの対応、アカウント自動連携、認証の強化、可視化のしやすさといったポイントを、自社の現状に照らして確認することが重要です。

特に、退職者アカウントを確実に止められるか、そして認証をパスワードレスへ進められるか——この2点は、SaaS時代の認証基盤選びで、とりわけ重視すべきポイントです。認証基盤の導入は、SaaS管理の効率化と、認証のパスワードレス化を同時に実現する好機です。使うSaaSが増えて認証管理に悩んでいるなら、まずは自社のSaaS利用の実態を把握することから始めてみてください。認証基盤の選定に迷ったら、専門家に相談することをおすすめします。

SaaS時代の認証基盤づくりは、Net Peaceにご相談ください

SSO・アカウント自動連携・パスワードレス認証で、乱立するSaaSを安全に一元管理。SaaS時代の認証基盤の選定・構築を支援します。まずは無料相談から。

無料相談を申し込む 資料ダウンロード

Net Peace編集部

サイバーセキュリティ専門チーム

FIDO2・ゼロトラスト・ID管理・eKYCを専門とするセキュリティエンジニアチームです。実際の導入支援の経験と、NIST・IPA等の公表情報に基づいて記事を作成しています。

乱立するSaaSを、安全に一元管理する。

SSO・アカウント自動連携・パスワードレス認証で、SaaS時代の認証を一元化。Net Peaceが、認証基盤の選定・構築を支援します。まずはお気軽にご相談ください。