1. RDPとは——なぜ狙われるのか
RDP(Remote Desktop Protocol:リモートデスクトップ)とは、離れた場所から、別のPCやサーバーの画面を手元で操作できるMicrosoftの仕組みです。テレワークや、サーバーの遠隔管理に広く使われ、大変便利です。しかし、この便利さの裏で、RDPはランサムウェアの主要な侵入口として、最も悪用されている経路の一つになっています。
なぜRDPが狙われるのか。それは、RDPが「社外から社内のPC・サーバーに直接ログインできる入口」だからです。攻撃者にとって、RDPを突破することは、社内に直接入り込むことを意味します。IPAやJPCERT/CC、海外のセキュリティ機関の報告でも、ランサムウェア被害の侵入経路として、VPNと並んでRDPが常に上位に挙げられています。便利な遠隔操作の扉が、そのまま攻撃者の侵入口になっているのです。ランサムウェアの侵入経路全体はランサムウェア侵入経路TOP5もご覧ください。
2. RDPはどう悪用されるのか
| 悪用パターン | 内容 |
|---|---|
| インターネットへの露出 | RDPをインターネットに直接開いており、世界中からアクセス可能な状態になっている |
| 総当たり・パスワードスプレー | 露出したRDPに、弱いパスワードを機械的に試して突破する |
| 漏えい認証情報の悪用 | 他所から漏れたID・パスワードを使い回して不正ログインする |
| 放置アカウントの悪用 | 退職者や初期設定のアカウントが残っており、そこから侵入される |
最も多いのが、RDPをインターネットに露出させたまま、弱いパスワードで運用しているケースです。攻撃者は、インターネット上に開いているRDPを自動ツールで常時スキャンし、見つけ次第、総当たりやパスワードスプレー(ありがちなパスワードを多数試す攻撃)で突破を試みます。一度突破されれば、攻撃者はそのPC・サーバーを起点に社内を横断し、最終的にランサムウェアを展開します。「露出している」×「弱い認証」——この組み合わせが、致命的な侵入を招くのです。
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3. RDPの不正アクセス対策
RDPの不正アクセスを防ぐには、次の対策を講じます。
- ① インターネットへの直接露出をやめる(最優先):RDPをインターネットに直接開かない。VPNやゼロトラストのリモートアクセス基盤を経由させ、直接の露出をなくします。これが最も効果的です。
- ② 多要素認証(MFA)を必須にする:パスワードだけでのRDPログインをやめ、必ず2つ目の要素を求めます。パスワードが破られても侵入を防げます。
- ③ アクセスできる人・端末を限定する:RDPを使える利用者・接続元を最小限に絞ります(最小権限)。
- ④ アカウントを整理する:退職者・初期設定・不要なアカウントを削除し、放置された侵入口をなくします。
- ⑤ ログを記録・監視する:RDPへのログイン試行を記録し、不審なアクセスを検知します。
最優先は、① インターネットへの直接露出をやめることです。そもそも攻撃者からRDPが見えなければ、狙われようがありません。そのうえで、② 多要素認証で認証そのものを強化します。露出を断ち、認証を強くする——この2つが、RDP対策の柱です。
4. RDPの認証を、最も強くする——パスワードレス
RDP対策の柱である「認証の強化」。その到達点が、パスワードそのものをなくす「パスワードレス認証」です。
考えてみてください。RDPが狙われる根本原因は、「パスワードで守られている」ことにあります。総当たり、パスワードスプレー、使い回し、フィッシング——RDPを突破する攻撃は、すべて「パスワードという盗める・破れるもの」を狙っています。ならば、そのパスワードをなくしてしまえば、これらの攻撃は成り立たなくなります。フィッシングに強いパスワードレス認証(FIDO2/パスキー)なら、盗めるパスワードが存在しないため、総当たりもパスワードスプレーもフィッシングも無力化されます。MicrosoftのWindows Hello for Businessなどを使えば、RDPの認証をパスワードレス化することも可能です。
米国NISTをはじめ世界のセキュリティガイドラインが最終的に求める認証も、このフィッシングに強いパスワードレスです。RDPの不正アクセス対策は、まず「インターネット露出の遮断」と「多要素認証」から。そして、その認証の到達点として、盗みようのないパスワードレスを目指す——それが、ランサムウェアの主要な侵入口を、根本からふさぐ道なのです。リモートアクセスを、境界の内側だと信頼せず、常に強い認証で検証する。これはゼロトラストの考え方そのものでもあります(ゼロトラストとは)。
5. まとめ
RDP(リモートデスクトップ)は便利な反面、ランサムウェアの主要な侵入口として最も悪用されている経路の一つです。インターネットへの露出、弱いパスワード、放置アカウントが狙われ、総当たりやパスワードスプレーで突破されます。対策として、①インターネットへの直接露出をやめる、②多要素認証を必須にする、③アクセスを限定する、④アカウントを整理する、⑤ログを監視する、が重要です。特に、露出の遮断と認証の強化が柱です。
そして、認証強化の到達点は、パスワードそのものをなくすパスワードレス認証(FIDO2/パスキー)です。パスワードがなければ、RDPを狙う総当たり・パスワードスプレー・フィッシングは成り立ちません。世界のガイドラインが最終的に求めるのも、このパスワードレスです。まず自社のRDPがインターネットに露出していないか、パスワードだけで守られていないかを確認しましょう。対策でお困りなら、専門家にご相談ください。