1. SaaS管理とは
SaaS管理とは、社内で使われている多数のSaaS(クラウドサービス)を把握・可視化し、アカウント・コスト・セキュリティを統制する取り組みです。メール、チャット、勤怠、経費精算、営業支援、ファイル共有——業務のデジタル化が進み、いまや多くの企業が数十から数百のSaaSを使っています。この乱立するSaaSを、バラバラのまま放置せず、組織として管理するのがSaaS管理です。
SaaSは、必要に応じて手軽に導入できるのが利点です。しかしその手軽さゆえに、「気づけば、誰が何のSaaSを使っているのか、会社として把握できていない」という事態が広く起きています。管理されないSaaSは、無駄なコストを生み、セキュリティの穴となり、統制の効かない領域を広げます。SaaS管理は、この「見えないクラウド」を、見える・統制できる状態にするための取り組みなのです。
2. SaaSの乱立が招く4つの問題
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| ① シャドーIT | 情報システム部門の把握しないSaaSが、現場判断で勝手に使われる |
| ② アカウントの放置 | 退職者のアカウントが各SaaSに残り、侵入口になる |
| ③ コストの無駄 | 使われていないライセンス、重複契約、過剰な契約数に気づけない |
| ④ セキュリティの穴 | 認証が弱いSaaS、設定が甘いSaaSが放置され、情報漏えいの原因になる |
とりわけ深刻なのが、① シャドーITと② アカウントの放置です。シャドーITとは、会社が把握しないまま、現場が勝手に使い始めるSaaSのこと。便利な反面、そこに機密情報が置かれても会社は感知できず、退職者のアカウントも管理できません。そして、SaaSが多いほど、退職時に「どのSaaSのアカウントを止めるべきか」が分からなくなり、止め忘れが生じます。放置されたアカウントは、監視されない侵入口です。SaaSの乱立は、便利さの裏で、こうした深刻なリスクを積み上げていくのです。
3. SaaS管理の主な領域
SaaS管理は、大きく次の領域に分けられます。
- SaaSの棚卸し・可視化:「どんなSaaSを、誰が使っているか」を把握する。シャドーITを発見する。
- アカウント管理:入退社に連動して、各SaaSのアカウントを適切に発行・削除する。
- ライセンス・コスト管理:使われていないライセンスや重複契約を見直し、コストを最適化する(SaaSライセンス管理)。
- セキュリティ管理:各SaaSの認証やアクセス設定を統制し、安全性を高める。
これらは相互に関連しています。たとえば、SaaSを可視化できれば、不要なライセンスの削減(コスト)も、退職者アカウントの停止(セキュリティ)も進みます。SaaS管理は、コスト最適化とセキュリティ強化を同時に実現する取り組みなのです。
自社のSaaS、把握できていますか?
SaaSの可視化・統制から、ID・認証の一元化まで。Net Peaceが、乱立するSaaSの管理を支援します。
4. SaaS管理の進め方
SaaS管理は、次のステップで進めます。
- STEP1 棚卸し:まず、社内で使われているSaaSをすべて洗い出します。契約情報、ログイン履歴、通信ログなどから、シャドーITも含めて可視化します。
- STEP2 整理・統廃合:重複するSaaS、使われていないSaaSを整理し、統廃合します。
- STEP3 ルール化:SaaSの導入・利用のルールを定め、シャドーITが生まれない仕組みを作ります。
- STEP4 一元管理の仕組み化:アカウントと認証を一元管理する基盤を整え、継続的に統制できる状態にします。
重要なのは、STEP4の「一元管理の仕組み化」です。棚卸しやルール化は一度やって終わりではなく、SaaSは増え続けます。継続的に統制するには、SaaSのアカウントと認証を一元的に管理する土台が欠かせません。
5. SaaS管理の土台——ID・認証の一元化
SaaS管理を継続的に機能させる土台となるのが、ID・認証の一元化です。多数のSaaSを、サービスごとにバラバラに管理するのではなく、一つの認証基盤を中心に統括するのです。
ID・認証を一元化すると、SaaS管理の多くの課題が一挙に解決します。「1度のログインで全SaaSを使う(SSO)」ことでパスワードの乱立を防ぎ、「入退社に連動して全SaaSのアカウントを自動で発行・削除する」ことで放置アカウントをなくし、「誰がどのSaaSを使っているか」を一元的に可視化できます。バラバラだったSaaSが、一つの統制の下に置かれるのです。SaaS時代の認証基盤の選び方はこちらで詳しく解説しています。
そして、この一元化された認証は、フィッシングに強いパスワードレス認証(FIDO2/パスキー)で守るのが理想です。SaaSが多いほど「ログインの入口」が増え、その一つでもパスワードが破られれば、被害が広がりかねません。パスワードレスなら、多数のSaaSのパスワードを覚える必要がなくなり、フィッシングでパスワードを盗まれる心配もなくなります。SaaS管理でIDを一元化するなら、その認証は、盗みようのないパスワードレスへ——米国NISTをはじめ世界のガイドラインが最終的に求める認証も、このパスワードレスです。SaaS管理は、乱立を整理すると同時に、認証をパスワードレスへ進める好機なのです。
6. まとめ
SaaS管理とは、乱立する多数のSaaSを可視化し、アカウント・コスト・セキュリティを統制する取り組みです。SaaSの乱立は、シャドーIT、アカウントの放置、コストの無駄、セキュリティの穴という深刻な問題を招きます。棚卸し・整理・ルール化・一元管理の仕組み化というステップで、SaaSを「見える・統制できる」状態にすることが重要です。
そして、SaaS管理を継続的に機能させる土台が、ID・認証の一元化です。SSO・アカウント自動連携で統制し、その認証を、フィッシングに強いパスワードレス認証で守る——これが、乱立するSaaSを安全に一元管理する道です。世界のガイドラインが最終的に求めるのも、このパスワードレスです。まず自社のSaaSを棚卸しし、シャドーITや放置アカウントがないかを確認することから始めましょう。進め方でお困りなら、専門家にご相談ください。