1. なぜネットワークセキュリティが問われるのか
SCS評価制度への対応において、ID管理・資産管理と並んで重要なのがネットワークセキュリティです。なぜSCS評価制度は、ネットワークの守りを求めるのでしょうか。それは、攻撃者の被害拡大が、ネットワークを通じて起こるからです。
サイバー攻撃は、多くの場合「一点突破」から始まります。1台の端末や1つのアカウントが侵害されると、攻撃者はそこを起点に、社内ネットワークを横方向に移動(ラテラルムーブメント)し、重要なサーバーやデータへと被害を広げていきます。もし社内ネットワークが「一度入れば、どこへでも行ける」平坦な構造になっていれば、この横移動を止められず、被害は一気に全社へ拡大します。ランサムウェアが組織全体を暗号化できてしまうのは、まさにこの構造が原因です。ネットワークセキュリティは、「侵入を前提に、被害の拡大を封じ込める」ための守りなのです。だからこそSCS評価制度は、これを重要な要件として求めます。
2. SCS評価制度が求めるネットワーク要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① ネットワークの分離(セグメンテーション) | ネットワークを用途・重要度で区画化し、区画をまたぐ通信を制御する |
| ② 境界防御 | ファイアウォール等で外部との境界を守り、不要な通信を遮断する |
| ③ アクセス制御 | 「どの機器が、どこへ通信してよいか」を定め、許可された通信のみを通す |
| ④ 無許可接続の遮断 | 許可されていない端末のネットワーク接続を検知・遮断する |
| ⑤ 通信の監視・ログ取得 | ネットワーク上の通信を監視・記録し、不審な挙動を検知する |
これらの要件に共通するのは、「つながる通信を、無条件に信頼しない」という思想です。従来の「社内ネットワークに入れれば信頼する」という境界型の考え方は、一度突破されると内部が無防備になるため、もはや不十分とされています。SCS評価制度が求めるのは、境界防御(②)を基本としつつ、内部でも通信を分離・制御・監視する(①③④⑤)、より多層的なネットワークの守りです。特に① ネットワーク分離と④ 無許可接続の遮断は、被害の封じ込めに直結する重要な要件です。
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3. 被害を封じ込める鍵——ネットワーク分離
ネットワーク要件の中でも、被害の拡大を防ぐうえで最も効果的なのが「ネットワーク分離(セグメンテーション)」です。これは、社内ネットワークを、用途や重要度に応じて複数の区画(セグメント)に分け、区画をまたぐ通信を制御する考え方です。
たとえば、「一般業務のネットワーク」「重要なサーバーのネットワーク」「来客用のWi-Fi」「工場の制御機器のネットワーク」を分離し、それぞれの間の通信を必要最小限に絞ります。こうしておけば、万一、一般業務のPCがランサムウェアに感染しても、区画の壁がラテラルムーブメントを食い止め、重要なサーバーへの被害拡大を防げるのです。船が浸水しても沈まないよう区画(隔壁)で仕切るのと同じ発想です。
この「分離して、被害を封じ込める」考え方を、より徹底したのがゼロトラストです。ゼロトラストは「ネットワークのどこにいても信頼せず、通信のたびに検証する」という考え方で、SCS評価制度が求めるネットワークの守りとも方向性を同じくします。境界の内側を信頼する時代から、内側でも検証する時代へ——SCS対応は、この流れに沿ってネットワークを見直す好機です(ゼロトラストとは)。
4. UPAS ZTAによるネットワーク統制
SCS評価制度が求めるネットワークセキュリティを、実務レベルで実現するのがUPAS ZTAです。UPAS ZTAは、ネットワークに接続される機器を統制し、無許可の接続を防ぎ、通信を可視化・制御するソリューションで、SCS評価制度のネットワーク要件に直接応えます。
- 無許可端末のネットワーク接続を遮断:許可されていない端末がネットワークにつながろうとすると、それを検知し、接続を遮断します(④の要件に直結)。
- ネットワークアクセスの制御:「どの機器が、どのネットワークにアクセスしてよいか」を制御し、不正な通信を防ぎます。
- ネットワークの可視化:どんな機器が、どこに、どうつながっているかを可視化し、統制の効いた状態を維持します。
- ゼロトラスト型の統制:「つながっているから信頼する」のではなく、接続を検証・制御する、ゼロトラストの考え方に基づいた守りを実現します。
特に、SCS評価制度で問われる「無許可接続の遮断」は、手作業では実現が難しく、UPAS ZTAのような仕組みが力を発揮します。前回解説したIT資産管理とネットワーク統制は密接に連携しており、UPAS ZTAは「どんな資産が、どうつながっているか」を一体で統制します。資産の可視化とネットワークの守りを、一つのソリューションでカバーできるのです。
5. 製造業のIT/OT環境という難所
SCS評価制度は自動車業界を中心に整備が進んできた経緯があり、対応企業には製造業が多く含まれます。製造業のネットワークセキュリティには、事務系のIT環境に加えて、工場の製造装置・制御機器が接続される「OT(制御技術)環境」という、独特の難所があります。
OT環境は、24時間稼働を止められない、古い機器が現役で動いている、パッチ適用が難しいといった事情から、セキュリティ対策が後回しにされがちです。しかし、近年はIT環境とOT環境がつながる(IT/OT融合)ことで、事務系ネットワークから侵入した攻撃が、工場の制御機器にまで到達する事例が増えています。だからこそ、IT環境とOT環境をネットワーク分離し、両者の間の通信を厳格に制御することが、製造業のSCS対応では特に重要になります。製造業のネットワーク分離の詳細は製造ラインを止めないOTセキュリティ、製造業全体のSCS対応はSCS評価制度 製造業対応ガイドもあわせてご覧ください。UPAS ZTAは、IT/OT環境をまたいだ資産の可視化とネットワーク統制にも対応します。
6. まとめ
SCS評価制度は、ID管理・資産管理に加え、ネットワークセキュリティも重要な要件として求めます。攻撃者はネットワークを通じて被害を拡大するため、①ネットワーク分離、②境界防御、③アクセス制御、④無許可接続の遮断、⑤通信の監視、によって「侵入を前提に被害を封じ込める」ことが求められます。特にネットワーク分離は、ラテラルムーブメントを食い止め、被害拡大を防ぐ鍵です。
「つながる通信を無条件に信頼しない」というこの思想は、ゼロトラストと方向性を同じくします。これを実務で実現するのがUPAS ZTAで、無許可端末の遮断・アクセス制御・可視化により、SCS評価制度のネットワーク要件に応えます。製造業ではIT/OT環境の分離という難所もありますが、UPAS ZTAはこれにも対応します。資産管理(モノ)・ネットワーク(つながり)・ID管理(ヒト)を、UPAS ZTAとKeyperで一気通貫にカバーし、SCS評価制度の中核要件を効率的に満たしましょう。まずは無料ギャップ分析診断で、自社の現状把握から始めることをおすすめします。